(更新 2013.4.7)
研究の本当の楽しさ、それは「新しいことを自分で発見し、開拓する喜び」
大学は教育と研究の機関です。皆さんの将来を決める教育の大事な部分は、何といっても研究を通して学ぶ様々な経験です。3年生までの生活とは違い、4年生になると研究中心の生活に切り替わります。皆さんが社会に出るときに要求されることは、昔もいまも変わっていません。研究室での生活はその準備でもあります。 ほんの少し大きな歩幅で歩きませんか。 最初は少し大変かもしれませんが、そのうち研究室のバイオリズムに慣れてくることでしょう。卒業時に振り返ったときに、この少しの歩幅の積み重ねに気づくことでしょう。
3年生の皆さんが研究室を選ぶときに何を基準にするでしょうか。研究内容がおもしろそうとか、研究室の雰囲気がよさそうとか、いろいろ判断材料はあると思います。研究内容は他のページで紹介しているので、ここでは研究室に入るとどういう生活になるのか簡単に紹介したいと思います。
春
4月
研究室の1年は「お花見」からスタートします。近くの半田山植物園は桜の山に、また旭川の土手は桜の堤に変身しています。
研究室の研究テーマが決まり、先生や先輩の指導を受けながら一緒に研究を進めていくことになります。最初のうちは研究を進めると同時に基本的な実験技術や研究の進め方を身につけていきます。
3年生までの授業での化学実験と、研究室での実験は全く違うものです。授業での実験は、よく知られている内容で、答えのある実験でした。しかし、4年生からの研究では、答えだけでなく、問題さえも自分の手で見つけだすことが目的だという点です。
まだ誰もやっていない、答えがでていない問題を考え、実験を通して、正解を自分で導きだすのです。
最初はできなくてあたりまえです。失敗もあります。徐々にできるようになればいいのです。もちろん研究室にはたくさんの頼りになる先輩がいるので、わからないことはどの先輩にでもどんどん聞けば教えてくれますし、一緒に考えてくれます。
5月 研究室間でのソフトボール対抗戦を毎年行なっています。今年も梅雨の合間をぬって開催されました。昨年まで連敗していたのですが、今年はなんとか引き分けました。もう1つの楽しみは、試合後の河原でのバーべキュー大会です。
夏
7月 10日頃に研究の中間発表会があります。院入試激励コンパもあり、そのあと院入試のための休みに入ります。院入試はだいたい8月下旬ごろにあります。また、院入試休みまでの間も大学院を受験する人は勉強時間を確保できるように考慮されます。
2005年の夏はフランスのルーアン大学から短期留学プログラムでリサさん(博士課程2年)が2ヶ月ほど滞在し、実験室で一緒に研究を行いました。2010年からは中国からの短期滞在の大学院留学生が3名一緒に研究しました。また、インドネシアとチュニジアからも博士研究員として研究に来られました。現在もフランスからの博士研究員が研究をおこなっています。
研究室には多くの先生が来学されました。2005年にはカリファルニア大学バークレー校からToste教授が、2006年にはMITからJamison教授がJSPSの短期招へい教授として来学されました。Jamison教授には講演だけでなくMITでの修士の授業を再現してもらいました。修士の先輩は研究についてToste教授やJamison教授と英語でディスカッションをしていました。2007年と2011年にはドイツのKnochel教授の講演会もありました。
秋
9月
院入試が終わったら、先輩の大学院生と同じような本格的な研究生活に入ります。
9月には行事として、研究室旅行があります。この時期に、化学道場(有機合成化学協会中国四国支部行事)が中国四国地区で開かれます。その会に参加することもかねて旅行に行くことが多いです。一咋年は島根で化学道場が開かれたので、みんなで出雲大社と日御碕に行きました。昨年は、その、第22回化学道場を研究室でお世話することになりました。9月21日・22日と総社で開かれました。先生方が有機化学の研究に惹きこまれていった理由などふだんなかなか聞けない話がありました。
9月は集中講義の時期です。2005年以降、澤村正也教授(北大院理)、宍戸宏造教授(徳島大院薬)、村上正浩先生(京大院工)、寺田眞浩先生(東北大院理)、岩澤伸治先生(東工大院理工)、棚瀬知明先生(奈良女大理)がこられました。研究について学生とのディスカッションもしてもらいました。ありがとうございました。
10月 有機金属化学討論会に出席する先輩を見ながら、「来年はぜひ発表したい。」と思う頃です。研究に勢いが出てくるのもこの頃です。
実験は計画をたてて進めていきますが、結果が簡単に出るような実験ばかりではありません。うまくいかないときにどういうアプローチをしていくのかといったことを身につけることも大事な点です。
反応がうまくいけばうれしいのですが、常に展望を明るくもって実験していると、実はそれ以上に病みつきになる楽しさがあります。目の前にあるフラスコの中を注意深く観察し、そして中で何が起こっているかを考えていると、予想した以上に重要なことが偶然に見つかることがあります。Serendipityという言葉を聞いたことがあると思います。そう、こうなるともう実験のとりこになってしまいます。もちろん単に運という言葉では言いあらわせない努力も必要です。溶媒、配位子、温度、時間などの変えるところがたくさんあり、多くの実験の積み重ねがそのベースになるからです。
冬
12月 2回目の中間発表会とそして、忘年会。このあたりから、日本化学会の年会や、修士論文発表会、卒業論文発表会などにむけて、それぞれの学生が目標を持って実験を進めてゆきます。
2月 そうこうしているうちに、次の学年の学生が研究室に入ってくる頃になります。いつの間にか先輩らしくなっている自分に気がつきます。
研究室は先輩やスタッフのアドバイスを受けながら、自分で研究をしていく力を身につける場です。社会に出れば当然求められるべきスキルを研究室で磨くことが、将来に向けてのトレーニングになっているのです。
とても活気のある研究室です。イベントごとはみんなで楽しみますし、スポーツや飲み会も盛りあがります。夜は遅くまで化学のネタで熱いディスカッションをかわすこともあります。
研究室選びは将来への第一歩にもなります。じっくり選んでもらいたいと思います。有機化学がおもしろそう!とか実験が好き!とかやる気にあふれる皆さんをお待ちしています。 実験室をちょっとのぞいてみよう!
研究の本当の楽しさ、それは「新しいことを自分で発見し、開拓する喜び」
研究の面白さは、実際に中に入って実験をして、初めて本当の意味がわかるものです。自分で考えながら、自らの手で行なったことがうまくいったときの経験はなかなか伝えにくいのが残念です。ちょうど、教会のステンドグラスと同じで外からではなく、中から見たときにきれいに輝いて見える、と言うとわかってもらえるでしょうか。
研究室では学部生、大学院生の研究室見学を随時受け付けています。
また、他大学の方は、事前に教授の高井までメールでお問い合わせ下さい。