高速気流噴射による表面付着粒子の除去

現在, 半導体産業や医薬品産業をはじめとする多くの産業において, 粒子状物質の付着による製品の表面汚染が問題となっている。この汚染を防止するためにクリーンルームが利用されているが, 原材料に付着していた粒子ならびに生産装置自体や製造・組立時に発生する磨耗粉などによる製品の汚染は避けられない。

付着した粒子状物質の除去法としては,洗浄液や溶媒などの液体を用いた湿式法が広く用いられるが,洗浄後に必要となる乾燥工程での再汚染を防止できないこと,ならびに,濡れに弱い製品には使用できないという欠点を持つ。そこで,液体を用いない乾式による除去技術の開発が期待される。

高速気流(エアージェット)による乾式除去法は,圧縮空気をジェットノズルから微粒子付着面に噴射することにより粒子を吹き飛ばし,除去する方法である。図1に示すように装置はコンプレッサーにノズルを接続するだけの簡単なもので,操作も簡便であることから,本技術は工作現場における清掃や比較的大きいダストの除去に対しては現場で広く使用されている。しかし,ミクロンオーダー(1ミリの1000分の1)からサブミクロンオーダー(1ミリの1万分の1)の粒子径を持つ微粒子に対しては除去効率が低いことが問題となっている。これは,ジェット噴射角度などの操作条件の影響は検討されているものの,除去効率に大きく影響を及ぼすと考えられるノズルの形状などに関しては系統的な検討は行われていないためであることが原因の1つであると考えられる。

そこで,本研究では,ノズルの形状を踏まえて操作条件を再検討することにより,各操作因子の除去効率に対する影響を詳細に検討し,その影響を予測するためのモデルを構築することを目指している。(図2は粒子除去前後での様子)

空気透過法による高温場での粉体付着性評価

粉体粒子は工業・薬品・食品など様々な分野で用いられているが,近年は取り扱う粒子径の微細化が進んでおり,それに伴って粉体粒子の取り扱いが困難となっている。なぜなら,粉体は粒子自身の持っている付着力によって,装置の内壁への粒子の付着や粒子同士の凝集が発生し,管の閉塞などのトラブルを引き起こすためである。しかし,一般に付着力は粒子径と共に小さくなる。この矛盾は付着力と粒子に作用する重力とのバランスによって説明できる。粒子が壁などへ付着する場合,粒子が受ける力は壁面との付着力だけでなく,壁面から分離しようと重力も受けている。したがって,粒子径が小さくなるほど付着力は小さくなるが,それ以上に分離力である重力が小さくなるため,粒子径が小さい方が付着しやすいことになる。粒子の付着によるトラブルを避けるためには,装置の設計段階から付着力ではなく,粉体粒子の取り扱いやすさの指標となる付着特性値で評価する必要がある。

付着力を測定する装置には,粒子1個の付着力を直接測定できる原子間力顕微鏡(AFM),粒子層の破断強度から付着力を求める引っ張り破断試験などがあるが,高温環境下で測定するには熱に強い特殊なセンサを用いなければならないという欠点がある。付着力の測定法として近年,当研究室で開発された空気透過法は,図3に示すように流動層の原理が基礎になっており,気体を粒子層に透過させ,層が破断するときの圧力損失から粒子付着特性を評価する方法である。このとき圧力損失を求める際に,圧力計が必要となるが,圧力計ならば高温に強いものも入手しやすいため比較的簡単に高温環境下での測定できると考えた。

本研究では,空気透過法を用いて常温から粒子同士の溶着が起こる温度までの付着特性変化を測定することで,加熱が付着特性に及ぼす影響を検討している。