有機電解合成とは

 Electroorganic Chemistry (有機電子化学:EOC) とか Electroorganic Syntheses (有機電解合成:EOS) とか耳にしたことがありますか。Electrooxidation (電解酸化) あるいは Electroreduction (電解還元) などを聞いたことがありますか。

 これらは電極から分子、分子から電極への電子移動により電子が過剰なあるいは電子が不足した反応種を発生し、それらの反応種の後続化学反応により生成物にいたる反応であり、これを手段とする有機合成のことです。「分子から電子を奪う」あるいは「分子に電子を与える」、これらは化学の最も基本的な現象の一つ(酸化/還元)であり、電子移動の仕組みや後続反応の特徴について理解を深めることは、有機化学のより深い理解につながると思います。 二十一世紀に向けて、環境に優しい分子変換技術が求められています。 有機電解合成 (EOS) は電極での電子の授受により反応が始まるので、本質的に廃棄物を伴わないクリーンテクノロジーとして、今日、化学工業界から熱い期待が寄せられています。

 具体的には、有機化合物 (原料) を適当な溶媒に溶かします。その溶液に電極 (白金などの金属板、グラファイトなどの炭素材料など) を漬け、電極間に電気を流すと、電極と有機化合物との間で電子移動が起こって、酸化 (有機化合物から陽極へ:有機化合物は電子を奪われる) あるいは還元 (陰極から有機化合物へ:有機化合物は電子を受けとる) 反応が起こり、反応性の極めて高い中間体ができます。これがさらに化学的変化 (後続反応) を行って、別の有機化合物 (生成物) に変わっていきます。

 大きくわけて、有機化合物が電極と電子を直接受け渡しをする直接電解と、有機化合物と電極との間の電子移動を触媒する物質を用いる間接電解があります(下図)。また、用いる装置によってバッチ型電解フロー型電解があります。

denkai

形式的には酸化・還元反応ですが

などの特長があります。
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