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研究テーマ

U.フロンティア複合材料の研究開発

(3)超高温耐熱材料(ナノ窒化物粒子分散Mo系複合材料)

概要

代表的な高融点金属であるMo材料(融点約2900K)は、優れた耐熱特性を有する次世代基盤材料の一つとして注目されています。しかし、一旦ある温度(再結晶温度)以上に加熱されると靭性が損なわれ高温強度が低下するという大きな欠点を持っているため、利用範囲が限定され十分に活用されていません。なかでも低靭性(脆性)はMoの結晶粒組織に大きく依存します。

現在,例えば、電子部品焼成板・高温金型、発電や航空機などの各種ガス/ジェット・エンジンの熱効率の改善や省エネルギー化のためのタービン・ブレード(翼)などがあります。様々な分野で1500℃以上の超高温で使用できる先進金属材料が必要とされています。この要求に対して、1500℃以上でも高靭性と同時に高強度を示し、加えて多様な複雑形状製品の製造が容易であるような新たなMo系材料の開発が望まれています。そこで我々の研究グループは、二層構造組織のMo系材料、すなわち材料内部は再結晶組織になるが材料表面部はかなりの高温まで加工・回復組織を維持するような高度に組織制御した材料を開発すれば、高靭性化と高強度化を同時に実現可能であると予想しました。

このためには、材料表面部に分散析出したナノサイズの金属窒化物粒子によって再結晶を抑制して加工あるいは回復組織を維持できるという独創的な多段優先窒化法を考案しました。本法により、高靭性と高強度を示し、かつ従来材よりも格段に高い再結晶温度(約1500℃)を持つようなMo系材料の開発に成功しました。

発表論文

  • M. Nagae, T. Yoshio, J. Takada, Y. Hiraoka, mprovement in recrystallization temperature and mechanical properties of a commercial TZM alloy through microstructure control by multi-step internal nitriding, Materials Transactions, 46 (2005) 2129-2134
  • M. Nagae, Y. Takemoto, T. Yoshio, J. Takada, Y. Hiraoka, Preparation of structurally controlled dilute molybdenum-titanium alloys through a novel multi-step internal nitriding technique and their mechanical properties, Materials Science and Engineering A 406 (2005) 50-56

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