本研究では,上記の課題に対し材料化学分野とコンクリート工学分野の研究者が協力し,解決を試みた.まず,現在海水からCl−を取り除き真水にすることに使われているイオン交換樹脂に注目し,これを劣化コンクリートの脱Cl−法へ応用することを発想し,イオン交換樹脂をベースとした独創的かつ革新的な脱イオン複合樹脂の開発に成功した.
現在までに,本研究で開発した新規“脱イオン複合樹脂”は,Cl−イオン含有コンクリート・モデルサンプルから高効率にCl−イオンを取り除くことに成功した.現在,この新規“脱イオン複合樹脂”の脱塩効果を実際の劣化コンクリート材および高Cl−イオン含有コンクリート・モデル材について検討中である.
本研究が開発した新規脱イオン処理法の大きな特長は,劣化コンクリート構造物表面に貼りつける方法が化工であって、特殊大型設備が不要な簡便・安全な方法であり,さらに低コストである点である. |