【概要】 |
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本システムは、平成8年度「研究基盤重点設備」として導入された材料創生システムであり、ナノスケールで2種類以上の化合物を構造制御し複合化することで、従来にない新しい機能の発現を目指しています。本システムは次に示す一連の装置から構成されています。ハイブリッド薄材料創製・構造分析システムは超高真空スパッター成膜装置と顕微ラマン分光装置を組み合わせたシステムです。ラマン分光法により化学的結合状態を明らかにするとともに、新機能ハイブリッド人工格子薄膜材料などの作製します。ナノ複合多孔材細孔表面構造特性解析システムはナノスケールで複合化した新規多孔体材料の表面特性の評価します。また、高温・高速液体クロマトグラフ装置は高次構造をナノスケールで制御した新しい高分子材料の分子量を精密に測定します。更に、磁気特性・電気特性評価システムは新規なナノ・ハイブリッド機能材料の低温から高温までの磁気的・電気的特性を評価します。本システムは導入以来、工学部のみならず他学部からの利用も多く、先端的研究に有効に活用され、多くの優れた成果を挙げています。 |
【各システムの説明】 |
(1) |
ハイブリッド薄膜材料創製・構造分析システム:
[物質応用化学科21号館高田研究室]
本システムは、超高真空スパッター成膜装置と顕微ラマン分光装置を組み合わせたシステムである。 |
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超高真空スパッター成膜装置(ヘリコンスパッター成膜装置):異なる2種類の無機化合物(金属、酸化物、窒化物など)を人工的に積層ハイブリッド化し、従来にない新規な機能性材料を創製する。 |
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A |
顕微ラマン分光装置(J-YVOX, T6400):細く絞ったレーザー光線を材料に照射し、その散乱光のエネルギー変化を測定することにより、材料の微小部での分子構造や相状態、配向状態を解明する。
新規ナノ・ハイブリッド薄膜の作製と材料の微小部での分子構造・相の状態・配向状態のその場解析。特に炭素系・ダイヤモンド系材料の化学結合状態の解析に有効。 |
(2) |
磁気特性・電気特性評価システム[物質応用化学科21号館高田研究室] |
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磁気特性評価装置(東英工業、VSM-5-15):磁化した材料を上下に微小振動させ、それにより発生する磁界を検出することで、飽和磁化・磁気異方性等の材料のマクロな磁気特性を解明する。
新しいナノ・ハイブリッド材料の飽和磁化磁気異方性などの磁気特性の解明。 |
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A |
電気特性評価装置(東洋テクニカ、Resitest-8200):材料の磁場中における電気伝導度やホール電圧を、温度を変化させながら測定することにより、材料の電気特性・電気伝導機構を解明する。
材料のキャリア濃度や移動度の測定による電気伝導機構の解明。 |
(3) |
ナノ複合多孔材細孔表面構造特性解析システム(高精度ガス吸着測定装置:日本ベル、BELSORP
28-SA)[物質応用化学科・21号館]:材料表面へのガス吸着量を高精度で測定することにより、材料の表面積やナノスケールの細孔径分布等を解析する。
新たに創製したナノ・ハイブリッド多孔体材料の細孔表面のナノスケール構造と特性の解明。 |
(4) |
高温・高速液体クロマトグラフ・システム(全自動高温GPC:ウォ−ターズ、ALC/GPC150C)[物質応用化学科・1号館]:超高温で多孔質ゲルを用いて異なる大きさの分子を分離することにより、高分子材料の分子量及び分子量分布を測定する。
新規ナノスケール高分子ハイブリッド材料(特に難溶性高分子化合物)の分子レベルでの界面構造の解析。 |