岡山大学方式人工網膜 本文へジャンプ
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はじめに
 網膜には、光を細胞膜の電位差に変換する視細胞がある。この視細胞が障害される疾患としては、網膜色素変性症などの先天性疾患と、糖尿病網膜症や加齢黄斑変性症などの後天性疾患がある。これらの疾患では、視細胞は死滅しているが、網膜の他の神経細胞は残っており、残存神経細胞を電気的に刺激すれば、ある程度の視力が得られる可能性が高い。

現在、人工内耳はすでに実用化されているが、人工網膜はいまだ開発段階で、アメリカで数人の患者に試験的に使われているにすぎない。また、諸外国、日本で他の研究グループが開発を進めている人工網膜は、光を電流に変換する光ダイオード、あるいはカメラ画像を出力する電極が使われており、その大きさ、感度、生体適合性、起電力供給の面で問題がある。私たちは、このような問題を解決するため、光ダイオードのかわりに、光を電位差に変換する光電変換色素という分子を使った人工網膜を開発している。

 
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