「ものづくり」のための技術と精神は、わが国の持続的な発展 の礎であり、その継続的な発展と進化が不可欠です。なかでも、分子を取り扱 う学問としての「化学」はその中心的な役割を担っており、この学問 を基礎とした効率的かつ環境負荷の少ない「合成プロセス」の開発が 極めて重要です。われわれの研究グループでは、基礎的な化学反応の開発 から実生産への応用までを幅広く視野に入れた新しい合成プロセスの開発 研究を行っています。
当グループは2008年の10月に誕生した新しい研究グループです。 合成プロセスを開発する上で大切な基礎的な学問がありますが、われわれは、 とくに有機化学と物理化学を両輪とすることで、従来にはない形の方 法論と技術をうみだそうとしています。有機分子を取り扱うためには有機化合 物の反応や性質などの基本的な事項を知り、そして詳しく調べることが非常に 大切です。また、これらを知るためには、分光学的な手法や速度論などの物理 化学的なアプローチが不可欠です。真に使える合成プロセスを完成させるため には、これらの学問を融合させ深化させることが極めて重要であると考えてい ます。
研究は、はじまったばかりですが、(1) 外部エネルギーを用いた新しい高活性化学種や機能性触媒などのアクティブな化学種を創製し、(2) これを、微細空間を利用したマイクロ反応システム上で行うことによ り、(3) 従来不可能であった合成プロセスを実現しよう、というコン セプトのもとに研究に取り組んでおります。